原野商法で買った土地は手放せる?処分の選択肢と二次被害を避ける確認手順

草木の茂る山あいの土地を背景に、古い購入資料と地図を確認する手元。「原野商法の土地」「手放す前に確認」「処分の選択肢と二次被害対策」の大きな文字を入れたイメージ画像 実家の売却

「将来値上がりする」と勧められて購入した遠方の原野や山林を、使う予定がなく手放したいと考えていませんか。本人が契約した場合もあれば、親が購入し、気づかないうちに相続していた場合もあります。

手放す方法はいくつかありますが、どれも買い手や受け手、制度側の審査といった相手の条件を満たす必要があり、「必ず使える」「必ず売れる」とは限りません。

すでに相続していて相続放棄を検討している場合は、売却や譲渡の手続きに手をつける前に、まず弁護士や家庭裁判所に確認してください。処分行為を始めてしまうと、後から相続放棄ができなくなるおそれがあるためです。

本記事は法務省・裁判所・国民生活センターの公表資料をもとに構成しています。

最初に確認するのは「誰が取得した土地か」

手放す方法を考える前に、取得の経緯を確認します。選べる制度が変わるためです。

本人が購入した土地

自分が売買等で購入し、今も単独で所有している土地は、「使わないから」という理由だけでは相続土地国庫帰属制度の対象にはなりません。この制度は、相続または相続人に対する遺贈によって土地を取得した場合に利用を検討できる制度です。遺贈も相続人以外への遺贈は対象外になります。

親などから相続した土地

親が購入した土地を相続した場合は、申請資格そのものは生じ得ます。ただし資格があることと承認されることは別で、土地の要件を満たし、審査を経て承認される必要があります。相続土地国庫帰属制度に関するQ&Aで詳しい条件が確認できます。

土地を手放す選択肢を順に確認する

主な選択肢は次の4つです。いずれも相手方の合意や審査が前提になります。

選択肢 まず確認すること 手放すための条件
売却 買い手が見つかるか、価格の目安 買主との合意と、権利移転に必要な手続きの確認
隣接地所有者等への譲渡 隣接地の所有者に引き受ける意向があるか 相手の合意、無償・有償の条件整理
自治体への寄附 自治体に寄附を受け付ける制度や方針があるか 自治体側の受入れ判断、義務ではない
相続土地国庫帰属制度 取得経緯と土地の要件を満たすか 要件審査・承認と、負担金の納付

売却を検討する場合、遠方の土地では地元事情に強い不動産会社を選ぶ視点も必要です。実家を売る不動産会社の選び方も参考にしてください。また、売却の準備として登記や資料の整理が必要になる点は、相続した実家を売却する前に必要な準備でも触れています。

相続土地国庫帰属制度で確認したい条件と費用

申請資格と共有者

相続や相続人への遺贈で土地を取得した人が申請できます。相続などによって取得した持分を持つ共有者がいる共有地の場合、申請は共有者全員による共同申請が必須です。共有者の一人だけの判断では申請できません。賛成しない共有者がいる場合や所在が分からない共有者がいる場合は、司法書士や弁護士への相談を検討してください。

原野商法に関係する土地だからという理由だけで、一律に対象外になるわけではありません。申請資格に加え、土地の要件も確認する必要があります。

引き取れない土地の要件

建物が残っている土地、担保権や借地権が設定されている土地、境界が明らかでない土地、所有権の存否や範囲に争いがある土地などは、そもそも申請ができません。これとは別に、崖や工作物・廃棄物の存在などから通常の管理や処分に過分の費用・労力がかかると判断された場合は、審査の結果として不承認になることがあります。申請自体ができない要件と、審査を経て不承認になる要件は区別されており、何らかの事情があれば必ず不承認になるというものではありません。詳しい基準は引き取ることができない土地の要件で確認できます。

審査手数料・負担金

審査手数料は土地一筆あたり14,000円で、申請時に納付します。取り下げ・却下・不承認になった場合でも返還されません。承認後はさらに負担金が必要になり、土地の区分や面積等によって金額が異なります。総額は個別に変わるため、早い段階で法務局に確認しておくことをおすすめします。

法務局の事前相談

事前相談は、提示した資料から分かる範囲で説明を受けられるものであり、申請後の審査結果や承認を保証するものではありません。登記事項証明書や地図・公図、境界に関する資料などを用意して相談すると話が進みやすくなります。詳しくは相続土地国庫帰属制度の相談対応についてで紹介されています。

相続放棄を考えている人は、売却や譲渡の前に相談する

相続した土地を手放す方法として、相続放棄を検討できる場合もあります。ただし相続放棄は被相続人の権利義務をすべて受け継がない手続きで、「不要な土地だけ」を選んで放棄することはできません。他の遺産も含めて受け継がないことになります。

家庭裁判所への申述は、原則として自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に行う必要があります。期限や判断は相続関係や事情によって個別に異なるため、検討する場合は早めに家庭裁判所や弁護士に確認してください。詳しい手続きは相続の放棄の申述で確認できます。相続放棄は土地の処分とは分けて、相続全体について判断する必要があります。

売却を持ちかけられたら、支払う前に確認する

原野商法の土地を持っていると、「買い取りたい」「測量が必要」といった勧誘を受けることがあります。国民生活センターは、売却名目での測量費・広告費・手数料等の先払いを求める手口や、別の土地の購入をセットにした契約に注意を呼びかけています。正規の仲介や測量にかかる適正な費用がすべて不当というわけではありませんが、次の点は支払う前に確認してください。

  • 契約相手が誰で、仲介・代理のどちらの立場か
  • 支払いの名目・総額と、後から追加費用が発生しないか
  • その作業が本当に必要か、自分で確認できないか
  • 売却や引取りが成立しなかった場合、支払った費用が戻るか
  • 別の土地の購入がセットになっていないか
  • 所有権移転をいつ・どの方法で確認できるか

不審な点があれば、その場で即決・即支払いをせず、家族や消費生活センター(局番なし188)に相談してください。原野商法の二次被害に関する注意喚起や原野商法の二次被害に関する見守り情報でも具体的な手口が紹介されています。

遠方の土地について家族で準備するメモ

親族と相談しながら進める場合、次のような項目を家族で共有しておくと話が進めやすくなります。分からない欄は「未確認」としておいて構いません。

項目 記入内容
所在地・地番
名義・取得の経緯
手元にある資料
分かっていないこと
管理費等の負担状況
家族の希望・相談したいこと

よくある質問

Q. 自分で購入し、単独で所有している原野も、国庫帰属制度を申請できますか?

A. 本人が購入し単独で所有している土地は、使わないという理由だけでは相続土地国庫帰属制度の対象になりません。現在手放したい場合は、売却や譲渡などの方法について、受け手の意向と条件を確認してください。

Q. 土地の名義が亡くなった親のままですが、何から確認すればよいですか?

A. まず登記事項証明書で現在の登記名義人を確認し、戸籍関係の資料で相続関係を整理してください。名義変更や未登記の扱いは個別の事情で手続きが異なるため、法務局や司法書士に相談しながら進めるのが安全です。

Q. 兄弟との共有名義になっている場合、自分だけの判断で国庫帰属を申請できますか?

A. できません。相続などで取得した持分を持つ共有者がいる共有地は、共有者全員による共同申請が必須です。単独では申請が受け付けられないため、他の共有者と話し合い、持分や意向を整理してください。意見が合わない場合は弁護士への相談も検討しましょう。

Q. 「先に測量費や手付金が必要」と言われたら払ってもよいですか?

A. その場で支払わないでください。売却や下取りの条件として事前の金銭を求める勧誘には、二次被害につながる手口が報告されています。正規の費用かどうかも含め、家族や消費生活センター(188)に相談してから判断してください。

相談先を分けて、一つずつ確認する

確認したい内容によって相談先の役割が異なります。国庫帰属制度の相談・審査は法務局、相続登記は司法書士、境界の調査は土地家屋調査士、権利や契約に関する争いは弁護士、税務は税理士が窓口です。

法務局は個人の手続きを代行する窓口ではなく、事前相談も提示資料から分かる範囲での説明にとどまります。複数の専門家にまたがる内容は、まず資料を整理したうえで、それぞれの窓口に確認していくことになります。

当サイト「実家の不動産整理室」は、宅地建物取引士・相続診断士の立場から、愛知県内とその近郊を中心に、資料や希望の整理、一般的な情報提供、専門家・公的窓口の案内を行っています。

買取や引取り、仲介、買主探し、条件交渉やその代理、法律・税務・登記に関わる個別の判断や手続きはお引き受けできません。遠方の土地の調査や処分そのものをお約束するものではありませんが、何から手をつければよいか整理したい場合は、初回無料相談をご利用ください。

コメント

タイトルとURLをコピーしました