実家の売却を考え始めると、どの不動産会社に相談すればよいのか迷うことがあります。査定額が違ったり、提案される売り方が違ったりすると、何を比べればよいかわからなくなるかもしれません。
依頼先を選ぶときは、提示された金額に加え、その価格の根拠、販売の進め方、費用、担当者との連絡方法を確認しましょう。同じ質問をして回答を書き留めると、自分たちの実家に合う提案かを考えやすくなります。
この記事では、実家の売却を相談する人に向けて、依頼前に確認したい点を整理します。会社名やランキングから一社をすすめるものではなく、家族が判断するための質問例を紹介します。
まず売却の前提と希望をそろえる
相談する前に、実家の所在地、登記上の名義、建物の状態、誰が住んでいるかを整理しておきましょう。相続後の実家と、親本人が所有している実家では、手続きの前提が異なります。
相続後であれば、名義や相続人の整理については「相続した実家を売却する前に必要な準備とは?」も参考になります。親の施設入所がきっかけなら、「親が施設に入って実家が空き家になったら?」で本人の希望や当面の管理から確認してください。
売却の希望は、金額だけでなく次の点も伝えます。
・売却するかまだ迷っているのか、売却方針が決まっているのか
・希望する時期と、その時期を希望する理由
・家族が現地に行ける頻度
・家財が残っているか、気になる不具合があるか
・どの段階まで家族で話し合えているか
これらは相談を進めるための整理例です。すべての書類がそろうまで相談を待つ必要はありません。わからない項目は「未確認」と伝え、調べ方も相談しましょう。
査定価格は、金額と根拠を一緒に聞く
高い査定額だけで決めない
査定で提示された金額を、そのまま売却できる約束だと受け取らないことが大切です。査定で示す見込み、実際に売り出す金額、買主との交渉を経て合意する金額は、分けて確認しましょう。
価格に差がある場合は、低いほうが正しいとも、高いほうが誤りとも決めつけず、各社が何を前提にしているかを聞いてください。
「近くのどの取引を参考にしましたか」「土地と建物の状態をどう評価しましたか」「家財が残っている場合と片付けた場合で提案は変わりますか」といった質問が比較の材料になります。売り出し中の物件の価格を参考にしている場合は、成約した物件の情報と区別して説明してもらいましょう。
自分でも参考情報を見ておく
国土交通省の不動産情報ライブラリでは、取引価格や地価公示などの情報を閲覧できます。近隣の取引を確認する手がかりになりますが、同じ地域でも面積、接道、建物の状態、取引時期などは異なります。
掲載されている金額を実家へそのまま当てはめるのではなく、不動産会社の説明を理解するための参考として使いましょう。条件が異なる事例については、その違いを価格にどう反映したのか質問できます。
販売方針と現地対応を具体的に確認する
会社の規模や知名度に加えて、実家について誰が何をしてくれるかを確認しましょう。次の質問は、依頼先を比べるための実務上の提案です。
・どのような購入希望者を想定しているか
・物件の写真や説明は、誰がどのように用意するか
・どこに情報を掲載し、他の不動産会社からの問い合わせにどう対応するか
・問い合わせや内見の状況を、どの方法で報告してくれるか
・反応が少ない場合、どのような情報をもとに販売方法や価格を見直すか
遠方に住んでいる場合は、鍵の預かり方、内見の立ち会い、訪問後の戸締まり、連絡の窓口も確認してください。売却を依頼すると、空き家の巡回や庭の手入れまで当然に含まれるとは限りません。対応する範囲と費用を分けて聞いておきましょう。
古い建物や家財が残った実家については、売却前にどこまで手を入れるかも相談事項です。「解体しないと売れない」「片付ければ必ず価格が上がる」といった説明を、そのまま結論にせず、費用と売り方を合わせて比べてください。解体前の検討には「古家付き土地と更地、どちらで売るべき?」も参考になります。
媒介契約で依頼する内容を確かめる
媒介契約と売買契約は別
国土交通省の案内では、媒介契約は、売主や買主が不動産会社へ取引の仲介を依頼する契約とされています。実家の買主と結ぶ売買契約そのものとは別です。
同省の売却に関する資料では、物件調査、価格査定、買主の探索や交渉、契約、決済・引渡しなどの流れを紹介しています。ただし、具体的な業務の範囲は会社や契約によって異なるため、契約前の確認が必要です。
税務相談や登記なども、仲介の依頼にすべて含まれると思い込まず、誰に依頼し、どの費用が別になるかを聞きましょう。個別の税務判断は税理士など、登記や法律上の問題は内容に応じて司法書士や弁護士などへ確認してください。
契約の種類・期間・連絡方法を確認する
媒介契約には、一般媒介、専任媒介、専属専任媒介の種類があります。どれを選ぶかは、希望する販売方法や物件の事情を踏まえて相談しましょう。
名称だけで判断せず、ほかの会社にも依頼できるか、自分で見つけた買主と取引する場合はどうなるか、契約期間、更新の手順、業務報告、解約する場合の条件を、契約書の該当箇所で説明してもらってください。
わからない点がある場合は、その場で結論を出さず、説明を受けた内容を家族と確認する時間を取りましょう。
レインズの登録証明書も確認する
国土交通省のリーフレットでは、専任媒介・専属専任媒介の場合、売り出し物件のレインズへの登録、登録証明書の交付、定期的な業務報告などが義務付けられていると説明されています。
レインズは、不動産会社間で物件情報を共有する仕組みです。売主専用画面では、登録証明書の情報を使って取引状況を確認できます。対象となる契約では、証明書の受け取り方と画面の使い方も聞いておきましょう。
なお、レインズで状況を確認できることが、価格や成約時期の保証を意味するわけではありません。担当者からの報告とあわせて、現在の販売状況を把握するために使います。
費用は「いつ・何に・いくら」を整理する
仲介手数料は、法律に基づく告示で上限が定められています。国土交通省は、媒介契約を結ぶ際に、上限の範囲内であらかじめ金額を合意することが重要としています。
提示された費用については、税込金額、算定方法、支払う時期を確認しましょう。上限と実際に合意する金額を同じ意味で扱わないようにしてください。低価格の物件には特例もあるため、一般的な計算式を一律に当てはめず、実家の取引での扱いを説明してもらいましょう。
あわせて、測量、家財処分、解体などを提案された場合は、必要な理由、依頼先、見積もり、いつ支出が発生するかを別に整理します。仲介手数料以外の費用があるか、成約に至らなかった場合や契約を終了する場合の扱いも確認事項です。
「高く売れる」という話だけでなく、売却代金からどの支出が発生するかを把握することが、家族の判断につながります。税額は取得費や所有期間などで変わるため、見積もりだけで確定したと考えず、税務署や税理士へ確認してください。
不動産会社に聞く質問リスト
依頼先の比較に使えるよう、次の項目を一枚にまとめておきましょう。各社へ同じ実家の情報と希望を伝え、回答の前提をそろえます。
・査定額の根拠と、参考にした事例は何か
・売り出す価格をどう決め、反応をどう確かめるか
・どのような購入希望者を想定し、どこに情報を掲載するか
・担当者と連絡方法、問い合わせ・内見の報告方法はどうなるか
・鍵、内見、戸締まり、家財が残る場合の対応範囲はどこまでか
・媒介契約の種類、期間、更新・解約の条件は何か
・仲介手数料と別途費用は、何に、いつ、いくら必要か
・登記や税金など、専門家への確認が必要な点は何か
回答欄には「金額」「理由」「対応範囲」「未確認事項」を分けて書くと、比べやすくなります。説明が抽象的な場合は、実家の場合に置き換えて聞き直してください。
まとめ:価格の根拠と、依頼後の進め方を比べる
実家の売却を依頼する会社は、査定額の高さだけで選ばず、価格の根拠、販売方針、担当者の対応、契約の内容、費用を確認しましょう。
特に遠方の実家では、鍵や内見、家財、連絡方法について、誰がどこまで対応するかが大切になります。同じ質問への回答を書き留め、家族が納得できる進め方かを考えてください。
まだ売るか決めていない場合も、名義や建物の状態、家族の希望を整理するところから相談できます。査定や契約へ進む前に、まず確認したいことを書き出しておきましょう。
何から確認するか迷うときは、初回無料相談をご利用ください
不動産会社へ相談する前に、家族の希望や実家の状況を整理したい方は、「実家・空き家の初回無料相談」からお知らせください。愛知県内とその近郊を対象に、初回無料で受け付けています。
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参考資料
確認日:2026年10月4日


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